ピーターラビット
1866年にロンドンで生まれたビアトリクス・ポター。彼女が生み出した最も有名なキャラクターといえば?もちろん、ピーターラビットです。
ビアトリクス・ポター:少女から絵本作家へ
少女時代には、家族でスコットランドや湖水地方で夏の休暇を楽しむのを常としていたビアトリクス・ポター。彼女は、自分のペットや風景、建物や草花など、多彩なモチーフを描いたり、スケッチしたりすることに多くの時間を費やしたことで知られています。その後、絵本作家として成功し、作品づくりに多くの着想を得ているニア・ソーリー村のヒルトップ農場を購入、1913年には地元の事務弁護士と結婚してキャッスル農場に移り住みます。このヒルトップは、湖水地方をお訪ねの際は誰もが必ず足を運ぶ名所の一つ。しかし、歴史的建造物として大切に保全管理されていますので、邸内の見学は時間・人数指定制となっています。訪問ご希望の際は、どうぞ事前予約をお早めに。
作家としてのビアトリクス
実は、『ピーターラビットのおはなし』、『ベンジャミンバニーのおはなし』、『りすのナトキンのおはなし』、『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』、『グロースターの仕たて屋』、そして『パイがふたつあったおはなし』はすべて、ビアトリクスの家庭教師であったアニー・カーターの子供たちに宛てて書き送った絵手紙がもとになっているのです。この絵手紙をまとめればきっと素敵な絵本ができるはず、とビアトリクスに話して聞かせたのはアニーでした。しかし当初、彼女の絵本出版に同意してくれる出版社は皆無でした。そこで、250部を自費出版し、世に出た最初の絵本が『ピーターラビットのおはなし』だったのです。ところがこの初版本がたちまち完売、1902年にフレデリック・ウォーン社との出版契約が成立します。それ以来、この小さな絵本シリーズはベストセラーとなり、諸国語に翻訳されて世界中で知られるようになるのはご存知の通り。シリーズは23話に及び、多くの愛らしいキャラクターたちは、ここ湖水地方での暮らしの中から生まれたのでした。ヒルトップでの農場生活を愛したビアトリクスは、これら小さな絵本シリーズからの印税で14の農場と1,600ヘクタールもの土地を購入しています。
農場経営者としてのビアトリクス
農場経営に乗り出したビアトリクスはやがて、湖水地方特有の品種で、その荒い灰色の羊毛で知られるハードウィック(しかし、笑みを浮かべているように見えるその愛嬌のある顔の可愛らしいこと!)飼育のエキスパートとなります。ハードウィックは耐寒性に優れ、高原に生息するため、湖水地方一帯で目にすることができますが、20世紀初期には他の品種に追われるようにして絶滅の危機に瀕してしまいます。その品種交配を成功させ、絶滅の危機から救ったのが、地元の一握りの酪農家とビアトリクスだったのです。今日では、その数7万5,000匹にも達するハードウィック。この湖水地方の景勝とそこにある伝統的な暮らしを守ること、それがビアトリクスの心からの願いでした。そして1943年、その死に際して、ビアトリクスは自ら所有した農場と高大な土地をナショナル・トラストに遺贈するのです。
2016年はビアトリクスをお祝いする年
2016年は、ビアトリクス・ポター生誕150周年という特別な年。湖水地方では、ビアトリクスがこの地で成した偉業をたたえて、各地で様々な記念イベントを開催します。世界に知られる絵本作家であり、優れたアーティストでもあったビアトリクスは、また気鋭の実業家にして酪農家、自然保護活動家でもありました。その77年の生涯でビアトリクスが収めた業績は多岐にわたり、特に晩年に至ってさらなる偉業を成し遂げた稀有の女性でした。その死に際して、ビアトリクスは最も重要な遺産をナショナル・トラストに残しました。それは、およそ1600ヘクタールに及ぶ広大な土地と15の農場でした。こうして、ビアトリクスは湖水地方の環境保全の礎石を据えたのでした。
2016年のビアトリクス生誕記念イベントの詳細は、ここをクリックしてください。
Beatrix Potter™ © Frederick Warne & Co. 2016
ザ・ワールド・オブ・ビアトリクス・ポター・アトラクション
ピーターラビットのふるさと、ザ・ワールド・オブ・ビアトリクス・ポター・アトラクションは、1991年にオープンして以来、受賞歴を誇る観光スポットとして、日本より多くのお客様をボウネス・オン・ウィンダミアにお迎えしてきました。その数は15万人を超えます。23話に及ぶポターの不思議の世界が、美しい湖水地方の営みを背景として視覚、聴覚ばかりでなく匂いまでも伴ってありありと再現され、充実の日本語による案内と合わせて存分にお楽しみいただけます。小さな白い絵本シリーズから飛び出してきた人気のキャラクターたちは、ピーターラビットをはじめ、ティギーおばさんやあひるのジマイマなど盛りだくさん。屋外のピーターラビット・ガーデンに足を運べば、ベンジャミンバニーがむしゃむしゃと食べたコス・レタスの見学に始まり、マグレガーさんの畑から逃げ出そうとしたピーターラビットが先に捕まった場所周辺に生い茂るスグリの低木など、よく再現された菜園をじっくりとお楽しみいただけます。子供たちにはワークシートをご用意、成人のお客様は新設のデジタル及びインタラクティブのエキシビション・スペースで、どうぞ心ゆくまでビアトリクスの半生をご鑑賞ください。また、テーマごとに別けられ、ご家族連れのお客様にもご満足いただけるカフェでは、自家製菜園より直送の野菜や果物など鮮度の高い食材をふんだんに使用。さらに、ワールドクラスのギフトショップでは、あらゆる世代のお客様がビアトリクス・ポターについて少しでも多くを知り、感動を味わうことができるはずです。しかも、どんなお天気の時でも!
また、ビアトリクス・ポターの世界を再現した当アトラクション館内の様子を映像にてお楽しみください。きっと足を運びたくなるはず…